❶住宅展示場の目的
住宅展示場は、一般的に大手住宅メーカーを中心に複数の住宅メーカーが自社の住宅を建築してより多くの人に自社の住宅をアピールする事で集客する事を目的路している展示場であり、自社の住宅をアピールする為に一般的な購買層の希望する住宅の規模よりも大きく大きな建築用地が必要となる事から郊外に整備される事が主流となっています。
しかし、名古屋市の様に市内でも有数の閑静な高級住宅街に整備されている場合もありますが、整備後に近隣地域が開発が進んだまれなケースです。
住宅展示場は、大手住宅メーカーを中心に複数の住宅メーカーが出店しているので住宅メーカーが運営している様に思えますが、北海道マイホームセンターは北海道新聞や北海道文化放送などが協賛運営しており、東京都世田谷区のオークラド住宅公園は大蔵映画やサンフジ企画などが協賛運営しています。
他にも、名古屋の中日ハウジングセンターは中日新聞や東海テレビ放送などが協賛運営しており、KTVハウジングは関西テレビ放送が運営しているなど地元のテレビ放送局や新聞社などのマスメディア関連の企業が運営しているのが実情です。
❷新築住宅の着工件数は減少傾向にある
新築住宅の着工件数は、過去には年間170万戸に及ぶ時期もありましたが、現在では100万戸を大きく下回る年もあり来場者数が減少している事から一般社団法人ナゴヤハウジングセンターは名古屋市から撤退しているなど全国で閉鎖される展示場が増加すると考えられています。
その為、帰省や行楽などで客足が遠退く年末年始やゴールデンウィークなどには必ずイベントが開催し、特に戦隊物のショーや人気お笑い芸人のトークショーなど様々なイベントが行われています。
時期によっては、イベントのメインターゲットを子供ではなく2世帯住宅や終の住まいの建築を考えている高齢者に対する年金相談や相続税対策などの専門家による相談会を開催したり、クリスマスやハロウィンなどにストレートにプレゼントイベントを開催するなど様々な集客対策が行われていますが、2000年の405カ所をピークに現在では300カ所を下回る勢いです。
一般的な購買層は、来場者の約40%が1カ所の来場で契約する住宅メーカーを決定しており、3カ所以上来場する購買層は全体の4分の1以下と述べ来場者数の増加が期待出来ない事も減少に拍車をかけています。
❸住宅メーカーの費用について
住宅展示場は、その地域の地元テレビ局や新聞社などのマスメディア関連の協賛企画運営会社が地主から土地を借り上げて運営している事から住宅メーカーは企画運営会社に月々の出展料金を支払う必要があり、さらに展示場自体を広く世間に認識してもらう為の広告宣伝費用の分担料金や集客の為に随時開催されるイベント費用の分担料金などの雑多な費用が必要です。
住宅メーカーは、月々の出展料金と広告宣伝費用やイベント費用の分担料金に加え、自社の住宅の良さや強みをアピールする為のフルオプションかつフルスケールの住宅を5年〜6年毎に立て替えする費用が必要とされています。
小規模な住宅メーカーの中には、高額な出展料金や広告宣伝費用の分担料金などの支払いが大きな負担になる事から展示場際の土地を地主から借り上げて自社の住宅を建築し、愛知県の岡崎中日ハウジングセンターの様に如何にも展示場の一部の様に集客している住宅メーカーもあります。
住宅メーカーの運営費用は、出展料金や建物償却費及び維持管理費用だけでも月々250万円〜300万円程度は必要とされ、他に5年〜6年毎に建て替える建築費や人件費を含めると年間1億円程度は必要とされています。
年間1億円を超える運営費は、現在の集客能力と建築費用の低下を考慮すると大手住宅メーカーでも大きな負担であると共に費用対効果面でも頭の痛い問題とされており、準大手の住宅メーカーは5年の出展契約期間の満了をもって撤退するケースが増加しているのが現状です。
❹月々250万円〜300万円程度の運営費用がかかる
住宅展示場のモデルハウスには、5人〜8人程度の常駐スタッフの人件費やOA機器及び通信費に加え、光熱費やモデルハウス内のイメージ家具の費用などが必要とされる事から月々250万円〜300万円程度の運営費用がかかります。
工務店を支援している日本合理化住宅協会JCCAでは、バブル経済期に250万円程度の出展料金が必要だった住宅展示場への出展をする事無く集客する方法として、ハイブリッド工法などのコストダウンのノウハウから営業ノウハウまでサポートすると共に施主の竣工した住宅を一定期間借りた完成現場公開を推奨しています。
住宅展示場では、大手住宅メーカーでは最低でも1人の営業マンで年間8件の契約を結ぶ必要がありますが、完成現場公開で年間30件以上の契約を結ぶ営業マンが複数存在する事から住宅営業のあり方が変化しているのが現状です。
完成現場公開は、住宅メーカーの最高グレードのモデルハウスに比べて現実味が強く、自分達が実際に購入出来る住宅を実際に見て肌で感じる事が出来る事が大きいとされています。