株式会社アトックスは、原子力発電所保守管理・放射性物質関連業務をおこなう会社です。
太平洋戦争後に日本国内で原子力発電がスタートしてましたが、こちらの会社は日本の原子力産業が草創期の時代から原子炉関連の業務を続けている歴史のある会社のひとつです。
株式会社アトックスの業務内容は、原子力関連施設の各種事業・福島復興事業・RIおよび医療住事業関連業務の3つに分けられます。
原子力関連施設の各種事業として、日本全国の原子力発電所や核燃料処理施設の保守管理作業があります。
放射性物質を扱う場合は放射線取扱資格者と呼ばれる国家資格が必要になりますが、アトックスでは約600名の従業員がこの資格を取得しています。
国家資格を取得している社員が中心となり、原子力発電所・核燃料処理施設などの放射性物質を扱う施設の保守管理が行われています。
放射性物質を扱う保守管理業務には、放射線管理・放射性廃棄物処理・施設管理・鉛ガラスの除曇などがあります。
放射線管理業務というのは、放射線量の測定・放射線測定器の点検保守・汚染物質の管理・放射線作業従事者の実効線量管理・放射線管理手帳発行など です。放射性物質を扱う施設は放射線量に応じて管理区域が設定され、空間放射線量を管理しなければなりません。
測定機器のメンテナンス作業や、汚染された廃棄物の管理作業もおこなわれています。
原子力発電所や核燃料を扱う施設で発生して回収された放射性廃棄物は、放出される放射線が安全なレベルまで減衰するまでの間は密封した上で隔離して保管する必要があります。
長期間にわたり安全に保管するために体積を減らす必要があり、焼却などの方法で減容処理が行われます。
放射性廃棄物を減容処理したり密封して保管施設に移動することも、事業内容のひとつです。
放射性施設から排出された気体や液体の線量測定したり、基準値以下に希釈して放出する業務もおこなわれています。
労働安全衛生法では管理区域に出入りする作業員の被曝線量を測定して記録を保管することが義務付けられていますが、被曝線量の測定・管理も会社の業務に含まれます。
原子力施設では高い放射線を遮蔽するために確認用の窓などに鉛ガラスが使用されていますが、表面が汚れると曇って見えにくくなってしまいます。
株式会社アトックスでは、放射線管理施設内に使用されている窓ガラスの曇りを除去する作業も実施します。
株式会社アトックスは、日本で最初の商業用原子炉が設置された時代から半世紀以上にわたり原子力施設の保守管理業務をおこなってきたノウハウや実績を持っています。
2011年に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた福島第一原子力発電所の管理・廃炉作業も、会社の事業内容(福島復興事業)のひとつです。
福島復興事業の業務内容は、廃炉工事・設備工事・環境施設・地域復興に分けられます。
福島復興事業の廃炉工事では、メルトダウンした原子炉から発生する汚染水のタンク移送・施設内の線量を低減させるための除染作業・線量調査などが含まれます。
線量調査では作業員が放射線測定機を使用してチェックする方法だけでなく、ドローンを使用した高線量箇所の調査・空撮も実施されています。
設備工事では、汚染水からストロンチウムやセシウムなどの放射性物質を除去する装置の運転や保守管理作業がおこなわれています。
ALPSと呼ばれる装置を用いて原子炉で発生する汚染水からトリチウム(三重水素)以外の放射性物質を除去されていますが、ALPSの運転や保守管理作業も事業内容のひとつです。
福島第一原子力発電所の施設内では多くの作業員が除染・廃炉作業に従事していますが、作業員の被ばく線量を管理したり防護措置を講じる必要があります。
作業員の被ばく線量管理や施設内の放射線量の管理は、福島復興事業の環境業務として実施されています。
福島県内では福島第一原子力発電所の事故にともなう除染作業や環境測定業務をおこなうために、県内には関連施設あります。
関連施設には汚泥処理施設や浄化センターなどがありますが、地域復興の一環としてこれらの施設の設置や運用・管理業務がおこなわれています。
放射性物質は医療や研究分野にも活用されていて、規模の大きな病院や大学などの研究所の中にはRI施設が設置されています。
RI施設でも放射性物質が扱われるため、汚染された廃棄物や排水・排気の適切な管理や処理が求められます。
株式会社アトックスのRIおよび医療住事業関連業務では各種RI研究施設支援業務や、治験薬などに使用される放射性物質の提供もおこなわれます。
放射性物質は原子力発電所や核燃料処理施設や医療・研究分野で活用されていますが、強い放射線は人体に有害な影響を及ぼすので、保守管理や廃棄物の処理には高い専門性が求められます。
株式会社アトックスでは放射性物質を扱う多くの施設で保守管理や廃棄物処理などの作業をおこなっている会社です。
最終更新日 2025年6月10日 by vbutam