不動産投資によって資産形成を行う際には利回りについての考慮が重要になります。
不動産としてマンションやアパートオフィスビルなどの高額のものをローンを組んで購入して、賃貸を行うことにより家賃収入を得ていくというのが日本では典型的な方法だからです。
利回りとは賃貸経営による年間の収入が、購入価格の何パーセントになるかを計算したものであり、不動産投資では5%程度になる高利回りを実現しているものが多いのが特徴です。
銀行の金利が0.01%程度であることを考えると大きな利益をもたらすことができる投資だと理解できるでしょう。
しかし、この利回りの本当の意味を理解しておかなければ失敗するリスクがあります。
一般的に投資物件の広告に記載されている利回りは単純利回りと呼ばれる指標です。
これは現状の不動産を賃貸経営したときに予想される家賃収入を売買価格で割って計算されたものであり、どれだけの現金収入があるかを示したものとなっています。
確かに収入がどれだけあるかという観点から役に立つ指標ですが、このときに考慮されていないのが支出です。
賃貸経営を行う上では必ず経費がかかるため、その分を差し引いてみないと実際に現金として他の目的で利用できる収入がどの程度かは理解できません。
その指標として用いられるのが実質利回りです。
実質利回りの計算の仕方は基本的には家賃収入から経費を差し引いた金額を売買価格で割ったものとされていますが、その収入と経費の考え方も一様ではないことに注意しましょう。
収入の面で考えると通常の単純利回りで計算されるときに用いられる収入を適用する場合もあります。
しかし、その計算方法も曖昧であり、現状で賃貸経営をするときにどのような家賃設定にしたらどの程度の空室割合になるのかというのは想像が難しいでしょう。
以前に賃貸経営に用いられていた物件の場合には、それをそのまま適用してしまっている場合もあります。
しかし、実際にはそれから年月が経っているため、実質的にはもっと少ない収入しか見込めない可能性があるのです。
そのため、現況の物件の状態を見定め、周囲での賃貸事情を考慮して収入がどの程度になるかを計算する場合もあります。
この方法で計算された利回りを想定利回りと言って区別する場合もありますが、統一的な言葉の使い方が広まっているわけではありません。
一方、支出についてもどこまでを考慮するかで違いがあります。
不動産の管理にかかる直接的な費用を考慮するのは一般的ですが、それに加えて修繕のための積立金を加えたり、固定資産税や都市計画税などの税金も考慮したりしてあらゆる経費をまとめて考える場合もあります。
大抵の実質利回りでは賃貸経営をするときに現金として支出になる経費を全て考慮するのが基本です。
ただし、個々には違う計算方法を適用している可能性があるため、業者などに依頼して実質利回りを計算してもらうときには経費にする範囲についてよく相談することが重要です。
現実的に賃貸経営による家賃収入で資産形成をしていく目的で不動産投資を行う場合には、重要になるのが現状としての賃貸経営による家賃収入から、あらゆる現金支出を引いた上で計算された実質利回りでしょう。
これを指標にして利回りが高い不動産かどうかを吟味して選ぶのが賢明です。
将来的に修繕の必要性が高い物件ほど修繕費積立金が多くなって実質利回りは低下し、新築で家賃も高くて修繕も必要がないと利回りが高く計算されるようになります。
大きな物件で共有設備が充実しているほど集客力が高くなりますが、管理費用もかかるようになるのでそのバランスを考えながら物件を選べるようになるでしょう。
最終的に利益を得やすいかどうかの指標として実質利回りで比較すれば大きな失敗はありません。
しかし、実際には想定通りに経営できないことはよくあります。
利回りと同時に考慮しておきたいのが集客性です。
空室が少ないのは不動産投資を行う上で欠かせない点であり、それをクリアしてくれる立地や設備を重視して選びましょう。
また、利回りは年々変化していくため、経年による需要の低下も考慮して資金計画を立てる必要があります。
建物や設備の新しさは年々利回りを下げる要因になりますが、立地のようにいつまでも利回りを維持するのに役立つ要因もあるのには注意しましょう。
長期的な投資を行っていくと考えるなら、いつになっても利回りを高められる要素を兼ね備えている不動産を選ぶに越したことはありません。
修繕によって比較的少ない費用でもともとの価値を取り戻せるというのも魅力的な点であり、利回りを維持しやすくなります。
このような点も考慮して実質利回りだけを比較せずに、物件そのものにも目を向けて長期的な視野を持って選ぶようにしましょう。
不動産投資に成功するためには実質利回りと不動産としての価値の維持のしやすさが重要な観点になるのです。
※参考になるリンク
マイランド
株式会社ベストランド マイランド事業本部
最終更新日 2025年6月10日 by vbutam